【初心者向け】クレスの飼育ガイド③|日々の健康管理で長生きを!

はじめに
クレステッドゲッコー(通称クレス)は比較的丈夫で飼いやすいヤモリですが、ちょっとした環境の変化や見逃しが原因で体調を崩すこともあります。本稿では、クレスの健康を守るための「よくあるトラブルと対処法」と「毎日のチェックポイント」を専門的知見とともに解説します。
よくある健康トラブルとその対処法
🩹 脱皮不全
- 症状:指先や目の周りに古い皮が残る/脚に白いカス状の皮が付着
- 主な原因:湿度不足(理想60〜80%)・霧吹き不足・栄養バランスの乱れ
- 対処法:湿度を見直し朝晩の霧吹きを強化/残った皮は湿らせた綿棒でやさしく除去/水分補給と人工フードの見直し
Mader, D. R. (2013). Reptile Medicine and Surgery によると、脱皮不全は慢性的乾燥が主因で、趾下薄板に皮が残ると壁登りに支障をきたすとされています。
🦴 フロッピーテール(尻尾の湾曲)
- 症状:尻尾の付け根が垂れ下がるように曲がる/壁に張り付きっぱなし
- 主な原因:縦方向だけで変化に乏しいレイアウト・水平面不足
- 対処法:止まり木や水平面を増設/ケージをワンサイズ大きく/初期なら環境改善で回復可
Reptiles Magazine (2017) は、壁面への過度な張り付きが尾部変形の要因と報告し、立体的で変化あるレイアウトが予防の鍵と述べています。
🧪 食欲不振
- 症状:餌を食べない・食事量減少
- 主な原因:温湿度の乱れ/脱皮前/ストレス(掃除頻度・レイアウト変更・ハンドリング)
- 対処法:温度24〜28℃・湿度60〜80%へ調整/フードの香りを強める・スプーン給餌/数日続く場合は動物病院へ
Journal of Exotic Pet Medicine (2020) によれば、食欲不振が長期化すると体重減少や免疫低下を招くため早期対応が重要です。
⚠️ 自切(尻尾を切ってしまう)
- 症状:防御反応で尻尾が突然切れる(再生しません)
- 主な原因:驚き・強いストレス・複数飼育の争い
- 対処法:静かな環境を保つ/掃除や接触は丁寧に/自切後は患部の清潔とストレス除去
🧾 毎日のチェックシート
日々の小さな変化を捉えることが早期発見・早期対処につながります。下表を参考に1日1回確認しましょう。
✅ チェック項目 | 📋 内容 |
---|---|
🍽 食欲 | 餌をしっかり食べているか?残し方に変化は? |
💩 排泄 | フンの色・量・形状に異常は?下痢・出血なし? |
🦎 活動量 | 夜になると活発に動いているか?元気に移動しているか? |
👁 皮膚・目 | 古い皮が残っていないか?目やに・乾燥はないか? |
🌬 呼吸 | 呼吸が浅くないか?口を開けて苦しそうではないか? |
💧 水分 | 舌の色が薄くないか?霧吹きの水滴を舐めているか? |
気になる項目が1つでもあれば、まず温度・湿度・霧吹きを見直しましょう。改善しない場合は早めに爬虫類対応の動物病院へ相談を。
✨さいごに
クレスの健康は環境×食事×水分のバランスで成り立っています。言葉を話さない彼らに代わり、あなたの観察と気づきが何よりの診察。本記事を参考に毎日のチェックを習慣化し、クレスとの暮らしを長く楽しく続けましょう。
参考文献
- Mader, D. R. (2013). Reptile Medicine and Surgery (2nd ed.). Elsevier.
- Reptiles Magazine. (2017). “Understanding Floppy Tail Syndrome in Crested Geckos.”
- Journal of Exotic Pet Medicine. (2020). “Nutritional and Environmental Considerations in the Care of Rhacodactylus ciliatus.”
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