【初心者向け】クレスの飼育ガイド③|日々の健康管理で長生きを!

【初心者向け】クレスの飼育ガイド③|日々の健康管理で長生きを!

クレステッドゲッコー(クレス)を元気に育てるには、健康トラブルに対する対処法を知っておくことがとても大切です。 でも、脱皮不全や食欲不振など、悩むこともありますよね。 この記事では、主な原因から対処法を解説し、ちょっとした工夫までわかりやすく紹介しています。はじめての方も安心して読める内容なので、クレスとの暮らしにぜひ役立ててください。

1.はじめに
2.よくある健康トラブルとその対処法
2-1.脱皮不全
2-2.フロッピーテール(尻尾の湾曲)
2-3.食欲不振
2-4.自切(尻尾を切ってしまう)
3.クレスのための「毎日チェックシート」
4.さいごに

1.はじめに

クレステッドゲッコー(通称クレス)は比較的丈夫で飼いやすいヤモリですが、ちょっとした環境の変化や見逃しが原因で体調を崩すこともある生き物です。
クレスの健康を守るための「よくあるトラブルと対処法」と、「毎日のチェックポイント」を、専門的知見も交えながら解説していきます。

2.よくある健康トラブルとその対処法

2-1.脱皮不全

【症状】

・指先や目の周りに古い皮が残る

・脚に白いカスのような皮が張り付いている

 

【主な原因】

・湿度不足(理想は60〜80%)

・霧吹きの頻度が少ない

・栄養バランスの乱れ

 

【対処法】

・湿度を見直し、朝晩の霧吹きを強化

・指先に皮が残った場合は、湿らせた綿棒でやさしく除去

・水分補給と人工フードの見直しも再発予防に◎

 

『Reptile Medicine and Surgery』(Mader, 2013)によると、脱皮不全の原因の大部分は慢性的な乾燥であり、特にクレスのような樹上性ヤモリでは、趾下薄板に皮が残ると壁登りに支障をきたすとされています。


2-2.フロッピーテール(尻尾の湾曲)

【症状】

・尻尾の付け根が垂れ下がるように曲がる

・壁に張り付きっぱなしで姿勢に偏りが出ている

 

【主な原因】

・ケージのレイアウトが縦方向だけで変化に乏しい

・壁ばかりに張り付いて休む習慣がある

 

【対処法】

・止まり木や水平面を増やし、休む姿勢に変化を

・ケージサイズが小さい場合は、ワンサイズ大きめに変更

・発症初期であれば、環境の見直しで改善が期待できます

 

“Reptiles Magazine” (2017) によれば、壁面への過度な張り付きが原因で尻尾の筋肉や骨格が変形する「フロッピーテール症候群」が発生するとされており、立体的かつ変化のあるレイアウトが予防のカギになります。


2-3.食欲不振

【症状】

・餌を口にしない

・食べる量が明らかに減った

 

【主な原因】

・温度や湿度の乱れ

・脱皮前の一時的な反応

・ストレス(掃除の頻度、レイアウト変更、ハンドリング)

 

【対処法】

・環境を見直す(温度24〜28℃・湿度60〜80%)

・フードの香りを強める/スプーンで直接与える工夫

・数日続く場合は、動物病院に相談を

 

 “Journal of Exotic Pet Medicine”(2020年)では、食欲不振の原因として「水分不足による代謝低下」や「環境ストレス」が挙げられ、これらが長期化すると体重減少や免疫力低下につながると報告されています。


2-4.自切(尻尾を切ってしまう)

【症状】

・尻尾が突然切れてしまう(自切)

・切れた後、クレスの尻尾は再生しません

 

【主な原因】

・驚いたときの防御反応(掃除時、落下、音など)

・ストレスの強いハンドリング

・複数飼育での接触・争い

 

【対処法】

・静かで落ち着いた環境を心がける

・掃除・レイアウト変更・接触の際は丁寧に

・自切後も生活は可能ですが、患部のケアとストレス除去が大切


3.クレスのための「毎日チェックシート」

「今日のクレス、元気かな?」という日々の観察が非常に重要です。
ちょっとした気づきが、病気やトラブルの早期発見につながります。
下記のチェック項目を1日1回、夜でも朝でもOKなので確認しましょう。

チェック項目 内容
食欲 ◻︎ 餌をしっかり食べているか?残し方に変化は?
排泄 ◻︎ フンの色・量・形状に異常は?下痢や出血なし?
活動量 ◻︎ 夜になると活発に動いているか?元気に移動しているか?
皮膚・目 ◻︎ 古い皮が残っていないか?目やにや乾燥はないか?
呼吸 ◻︎ 呼吸が浅くないか?口を開けて苦しそうではないか?
水分 ◻︎ 舌の色が薄くないか?霧吹きの水滴を舐めているか?

気になる項目が1つでもある場合は、まず「温度・湿度・霧吹き」を見直しましょう。
改善しない場合は、早めに爬虫類対応の動物病院へ相談することをおすすめします。

 

4.さいごに

クレスの健康は、環境×食事×水分のバランスで成り立っています。
体が小さく言葉を話さないクレスにとって、あなたの観察と気づきが何よりの“診察”です。


参考文献

  • Mader, D. R. (2013). Reptile Medicine and Surgery (2nd ed.). Elsevier.

  • Reptiles Magazine. (2017). “Understanding Floppy Tail Syndrome in Crested Geckos.”

  • Journal of Exotic Pet Medicine. (2020). “Nutritional and Environmental Considerations in the Care of Rhacodactylus ciliatus.”

記事をシェアする