腸から始まる健康管理。爬虫類にも“乳酸菌ケア”のすすめ

第1章:乳酸菌ってそもそも何?
乳酸菌という言葉、ヨーグルトなどでよく見かけますよね。実はこの乳酸菌、糖をエネルギーにして乳酸をつくる働きをする細菌のこと。人間や犬猫などの哺乳類では「お腹にやさしい菌」として知られていて、消化を助けたり、免疫力を支えたりと、体の中でたくさんの大事な役割をしています。
Colston(2017)によると、動物たちはお腹の中にいる微生物たちと深い関係を築いていて、それが健康や成長、行動にも関わっているのだそうです。
第2章:実は爬虫類にも“腸内フローラ”がある
「乳酸菌って、哺乳類の話でしょ?」と思われるかもしれません。でも、実はトカゲやヤモリなどの爬虫類にも、ちゃんと腸内細菌=“腸内フローラ”があるんです。
たとえば、トカゲの腸の中にはFirmicutes(フィルミクテス門)やProteobacteria(プロテオバクテリア門)という種類の細菌が多くいて、食べ物の消化や体の中の代謝、細胞の活動などに関わっていることがわかっています(Tang et al., 2020)。
Kohlら(2017)の研究では、トカゲの種類によって腸内の菌の構成が違っていて、それは野生でも飼育下でも見られるそうです。さらにおもしろいのが、孵化してすぐに母親と離されたトカゲでも、3割くらいは母親と同じ腸内細菌を持っていたという話。生まれた瞬間から、ある程度の腸内環境ができているんですね。
第3章:飼育環境では腸内バランスがくずれやすい?
自然の中で暮らすトカゲやヤモリと、飼育環境で育てられている子たちとでは、腸内の菌のバランスがけっこう違うことが分かってきました。
Tangら(2020)の調査によると、飼育されたワニトカゲの腸内細菌は、野生のものとはかなり構成が違っていたそうです。エサの種類が限られていたり、人の手による管理が加わることで、腸内にすみつく菌のバランスに変化が生じた可能性があります。
Tangら(2022)の研究では、野生のトッケイヤモリの腸内フローラは非常に多様で安定しており、代謝や免疫に関わる機能が活発だったと報告されています。一方で、飼育されたトッケイヤモリの腸内からは、病原性を持つ可能性のある菌が多く検出されました。特に、Proteobacteriaの割合が飼育個体では80%以上に達し、その中でもEscherichia-Shigella属やEnterococcus属といった、感染症の原因となりうる菌の増加が顕著でした。
飼育個体と野生個体の腸内細菌の違い(トッケイヤモリの例)
Tangら(2022)の研究をもとに、飼育されているトッケイヤモリと野生個体の腸内環境を比較した内容をまとめました。
比較項目 | 野生個体 | 飼育個体 |
---|---|---|
腸内細菌の多様性 | 高く、安定 | 低く、偏りがち |
主要な菌の種類 | Firmicutes、Bacteroidetesなど | Proteobacteria(80%以上) |
病原菌の検出傾向 | 少ない | Escherichia-Shigella属などが多く検出 |
機能的な特徴 | 代謝・免疫関連が活発 | 感染リスクが高まる可能性 |
このように、飼育環境にいる爬虫類たちは、腸内フローラの偏りによって健康トラブルを起こしやすくなります。
このように、飼育下では腸内環境のバランスが崩れやすくなり、本来は少数派でおとなしくしている“悪玉菌”が勢いを持ってしまうことがあります。こうした腸内フローラの乱れは、消化不良や免疫力の低下といった不調につながる可能性があり、見過ごせない問題です。
その背景には、単調なエサ、人との接触、温度や湿度の変化といった飼育環境特有のストレスが影響していると考えられています。つまり、飼育されている爬虫類たちは、知らず知らずのうちに腸内の“菌の顔ぶれ”が入れ替わってしまい、それが健康リスクにつながる可能性があるのです。
だからこそ、日常的に腸内環境を整えてあげることがとても大切です。
第4章:レプケア乳酸菌に期待できること
ここまでのお話をふまえると、飼育されている爬虫類たちは、お腹の中の菌バランスが崩れやすいことが見えてきました。そんなときに役立つのが、乳酸菌を補ってくれる「レプケア乳酸菌」です。
レプケア乳酸菌は、パウダータイプのサプリで、普段の餌に混ぜて簡単に使えます。消化や吸収を助けたり、悪い菌の増殖を抑えてくれたりと、腸内の環境を整えることで健康をサポートしてくれるんです。
Tangら(2022)は、野生のヤモリの腸内では代謝や遺伝情報の処理といった大事な働きが活発だったことを発見しています。つまり、お腹の中の菌たちは「ただいるだけ」じゃなくて、体全体の健康に直結しているというわけです。
Alberdiら(2021)も、腸内の菌が栄養の吸収や免疫に深く関わっていると述べています。飼育環境による影響を少しでもやわらげて、爬虫類たちが元気に過ごせるように、レプケア乳酸菌のような製品が力を発揮してくれるかもしれません。